「葛城事件」☆☆☆☆☆!
死刑制度には僕も色々思うところはある。この映画を観て一番思うのは、死刑が一番重い刑罰とは言い切れないってことかな。この映画を観て思い出す実際の事件は幾つかある。それらの実際の事件でも同じようなことを思った。それだけこの映画のリアル感は高い。
あの家族を見ていて、いろんな場面でそりゃダメだよと思う。でもどこがどうダメなのかうまく説明できないし、どうすればよかったのかも分からない。自分では良かれと思っていることや、ちょっと違和感があっても自分の力ではどうしようも無いことが世の中たくさんある。それらがどんな結果を導くのかは結局そうなってみなくては分からないことが多い。一見平和そう、幸せそうに見える家族でもそういった歪みはたくさんあるはず。この家族だって最初はそうだったはず。どこで間違えたのかなんて分からない。と言うよりも、ずっと間違えていたのだろう。でもなおせない。そこもリアル。
通り魔殺人のシーンもある。人々はその場で立ちすくみほとんど逃げない。無責任な僕ら観客はなんで逃げないんだと思うけど、きっとその場に遭遇したらパニックであんなふうに逃げられないんでしょう。あれがきっとリアル。
死刑制度への思いから家族も捨てて死刑囚と結婚する女に共感など絶対にできないけど、彼女の目に狂気は感じられず、本当にそれが正しい道だと信じているらしい。自分の無力さに戸惑う田中麗奈さんの演技が素晴らしかった。
ラストシーンも心震えました。傑作。
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