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2012.09.28

「鍵泥棒のメソッド」☆☆☆☆

 自殺も考えるほどの貧乏役者の桜井は最後の思いで銭湯に行くが、そこでコンドウが転倒し頭を強打し気絶するのを目撃。そのどさくさに紛れて、鍵を自分のものと取り換えて、彼の部屋に向かう。一方、編集者で婚活中の香苗は記憶喪失で途方に暮れているコンドウに出会う。

 30過ぎたらもうときめくことなんかない。って内田監督は「運命じゃない人」でもニュアンスは違えど似たようなことを言っていた。よっぽど根強く思っているのね。30超えると恋のチャンスはどんどん減っていくのだ。常々言っているけど、僕ももう一度キュン!となってみたいものです。

 面白い。素晴らしいと言うよりはスゴイ。毎度のことながら脚本に隙がないですね。話が進むとええええっと思うことがいくつか出てくるのだけど、全てに合点が行き、物語の構成上で突っ込むところはほとんど無いね。ただ隙が無さ過ぎて逆に味気ないくらいでもある。うますぎるよ。あまりにうますぎるので誉めたい、でも誉めすぎたくもないという葛藤を覚えてしまうのは、ある種の嫉妬かね。
 芸達者3人はみんな本当に素晴らしく、香川さんと堺さんの掛け合いの見事なこと。広末さんは久しぶりに輝いて見えました。オープニングの事務所のシーンだけでやられちゃった感じです。

(MOVIX清水)

2012.09.25

「天地明察」☆☆☆☆

 囲碁家である安井算哲は、対局よりも星と算術に夢中であり、ある日、会津藩主の保科正之から日本全国で北極星の高度を測る北極出地を命じられる。一年半の任務を終えて帰ってくると、今度は新しい暦作りの総大将に任命される。

 ねーねー、みなさん、暦ってそんなに大切?(^^;) 暦の重要性ってみんなが同じ時間を認識して利用できることであって、例えそれが1日や2日ズレていたって、全員がそのまま使っているなら何の問題もないじゃん。それにそれを確認するすべが日蝕と月蝕限定って、それって暦なの? せめて春分や秋分に昼夜の時間を計って同じかどうかで確認ってなら分かるけどねえ。ここで描かれていることの重要性は学問としてなら充分に理解できるけど、政治的には何をこんなに真面目に必死こいてやらなアカンのよっ。その辺がよく分からなかった。

 とはいえ、時代劇の体をなした理系映画というのは珍しい。理系の端くれである身としてはとても面白かったです。序盤の碁のやり取りからしてスリリング(これは理系関係ないけど)だし、日本中を旅して北極星の高さを測るというくだりや、星のデータを解析して日蝕や月蝕を予想する展開の面白いこと。登場人物がほとんど老けず、速い時間の流れをビジュアル的には現しきれていない点が気にはなるけど、一つのことを生涯をかけて取り組んだ人物を描いた大河ドラマとして、これはとても面白かったです。

 個人的にも絵馬に描かれた数学の問題を解いてみたい! あと日蝕のシーンは、今年見た金環蝕を思い出したこともあって感動しました。

(シネシティザート)

「ヴァンパイア・ストーリーズ CHASERS/BROTHERS」☆☆☆☆

 合宿でキャンプ場に来ていたシュウたちのサークル仲間は、アイというヴァンパイアによって全員血を吸われてしまい、シュウとヒサコを残して全員が死んでしまう。目を覚ましたシュウは、そこに現れたアサギと名乗る男からヴァンパイアに襲われた人間は7日以内にそのヴァンパイアを倒さなければ彼の奴隷になってしまうと聞く。一方、実はアイには深い宿命があった。

 少し前にBerryz工房の「Because Happiness」と℃-uteの「幸せの途中」というそれぞれの曲を同時に流すと、見事にリンクして一つの曲になるというのが話題になったけど、この映画も「CHASERS」と「BROTHERS」それぞれで成立する別の映画が実は同じ時間軸でリンクした状態で描かれているため、2本両方観ればその関連性で面白さが倍増するという作りになっています。正直1本ずつだとそこそこの面白さですが、2本観れば2本分以上に面白いです。モニター並べて同時に観たいくらいです。
 ただこの2本をどういった順番で観るかでその面白さは微妙に変わるかも。僕は「CHASERS」 → 「BROTHERS」の順で観たのだけど、劇場公開は逆だった模様。なので「CHASERS」の中で出てきた「BROTHERS」のシーンが思わせぶりでありながらも謎っぽくなっていて「BROTHERS」への興味に繋がっていたのだけど、実は「BROTHERS」を先に観ていたら単なる回想シーンでしかなかったということを知ったため、実はこの見方をしていたのが怪我の功名のごとく別の楽しみを生んでいたのでした。また「CHASERS」ではただの悪役にしか見えないアイが「BROTHERS」では主人公のひとりとなっていて、実は深い悩みを抱えていたことなども分かって見方が変わるので、やっぱり「CHASERS」を先に観たのが正解だったと思いました。ああややこしや。まあどっちからでもいいや。(笑)

 とりあえず「CHASERS」がかっこいい! 「BROTHERS」はやりきれなさが残るね。そう言うテイストの違いもグッド!

(DVD)

2012.09.21

「夢売るふたり」☆☆

 東京の片隅で小料理屋を営む貫也と里子の夫婦だったが、あるとき調理場からの失火が原因の火事で全てを失ってしまう。絶望した貫也は常連客だった玲子と酔った勢いで一夜を共にしてしまう。それを知った里子は、店を再開するための資金を稼ぐために貫也に結婚詐欺で女たちを騙すことを指示する。

 観る前。話は面白そうなんだけど、不安要素は監督だよなあと思っていましたが、やっぱりその通りかも。苦手なんだよね、西川さん。今回も正直全然面白くない。
 どうも松たか子さんの気持ちが分からないんだよね。ベースは浮気に対する復讐心が愛情やお金の問題と複雑に絡み合っちゃったってことなのかなあ。人の心は千差万別。よく分からないことのほうが多いのは常だろうけど、それでもやっぱりよく分からない。監督が人の心を深く描こうとしすぎなんじゃないかな。
 あと旦那のほうがあんなにモテモテっていうのもあまりにも現実性がなくないかね。いくら奥さんが考えた作戦通りといっても、よっぽどの素養がないとあれは無理だよね。夢物語が過ぎるって。

(シネシティザート)

「完全なる飼育 メイド、for you」☆☆

 椛島は秋葉原のマンガ喫茶の住み込み店長。彼の楽しみはメイド喫茶の“苺ちゃん”に会いに行くことだったが、ふとしたことから帰宅中の苺を気絶させてしまい、思わず彼女を店に連れ帰り、個室に監禁してしまう。

 なんやこれ~って感じ。そもそもこのシリーズは監禁をきっかけとした男女の愛情を描いているもの。だから監禁された女の子が監禁した男にどうしてなびいてしまうのかというのをしっかりと描かないとただの中途半端なピンク映画になってしまうはずなのに、この映画ではなんで女の子があの気持ち悪い男を受け入れてしまうのかが全く理解できないのが致命的。彼女に何か深いバックグラウンドがあって、それを男が癒してしまったということであれば分からんでもないけど、逃げられるきっかけを経ていながら、それを拒否して居残り続ける理由が全く分からない。あんなに抵抗していたのにその抵抗を止めたのがなんでか全然理解できなかった。あとあの状況、環境でバレずに監禁し続けるのは、たぶん1日だって無理だよ。決着のつけ方もキライ。

 ヒロインはメイドカフェの人気店員(1番人気でなく3番人気というのがリアルではある)なのだけど、どう観てもそういうタイプではないのがイタイ。全くもって萌え萌えではないので、どちらかといえば人気風俗嬢という感じ。(←失礼) あと主人公が気持ち悪い。(笑) 西村雅彦さんは何のために配役されたんだ?

(DVD)

「劇場版 神聖かまってちゃん/ロックンロールは鳴り止まないっ」☆

 プロ棋士になる夢を抱きつつもその生活に疑問を持っている女子高生の美知子は、彼氏に「神聖かまってちゃん」のライブに誘われるが、その日はアマ王座決定戦の決勝戦だった。一方、昼夜を問わず働くシングルマザーのかおりは、神聖かまってちゃんのネット動画に夢中な息子が保育園で問題を起こしてしまう。神聖かまってちゃんのマネージャーのツルギは、メジャーデビューと引き換えにバンドの売り出し方について不条理な難題を押し付けられて悩んでいた。

 死にたいな~生きたいな~どっちでもいいな~。などと唄うバンドだってニーズはあるのは分かる。それをほとんど異常者にしか見えない振る舞いのスカートはいた男性ボーカルが狂ったように歌うのに熱狂する人たちがいても、それを否定するつもりはありません。ただ僕はそのよさを全く理解できないため、劇中の人たちみんながみんなそれに惹きこまれていくのにはすこぶる違和感を覚えました。多くの人はあの歌声に好意を示さないだろうし、そうでなくても一人や二人は拒否反応を起こすくらいでないと、受け入れにくいと思います。みんながみんなという描写が本当に気持ち悪い。

 登場人物たちが揃いも揃ってイヤなヤツだらけなのも本当に不愉快。自分勝手なイライラから両親に醜い暴言をぶつけ続ける女子高生をどうして愛することができましょうか。当のバンドメンバー本人たちに何の相談もせずに今後の演奏人生に大きく影響を与えるであろう決定を下す(その理由は自分一人の好み!)マネージャーもどうかと思う。あんな小さな子にネットばかり自由に見せる親もダメでしょ。
 とにかくいろんな場面場面でイライラし、何ひとつ共感できない映画でした。

(DVD)

2012.09.20

「踊る大捜査線THE FINAL 新たなる希望」☆☆☆

 国際環境エネルギーサミットの開催中に、サミット会場で誘拐・殺人事件が発生する。湾岸署に捜査本部が結成されるが、所轄の刑事は閉め出されてしまう。管理官の鳥飼の指示で青島が任意同行してきた容疑者にはアリバイがあったにもかかわらず、その容疑者が犯人に仕立てられてしまう。しかもその容疑者への暴行、自白の強要容疑で青島に辞職勧告が下る。

 THE FINALを謳うなら、もっと最終作っぽくしてもらいたいなあ。10年以上も観客が気になっていることに決着もつけず、最後に数年後、10年後の姿を描くとかして次回作の可能性を消すでもなく。これだったらいくらでも次を作ることができるもんね。逃げ場を作っちゃいかんよ。
 ここまで5本の映画で10年以上も観続けてきた馴染みのあるメンバーが活躍しているからそこそこ面白いけど、そうでなければこの映画はさほど面白くないんじゃないかな。犯人や事件の真相に意外性があるかというとそうでもないし、捜査本部にあれだけの人員ががやがやしているわりには実際に現場で動いているのはほんの一握りっていうアンバランスさもおかしくないか。犯人逮捕に至る展開もご都合主義的だし。あのカーアクション(?)とかもちょっとどうかなと思う。
 ただオープニングタイトルバックはチョーかっこいい!!! 昔の画面とかも一瞬ずつたくさん映るので、何度かコマ送りで見たくなるね。そこが一番(!)面白かった。

 しかしここでも相変わらず警察トップレベルはやっぱり腐ってる。どんな映画でも警察トップレベルが登場すると必ず腐っているから、本当にあんなんじゃないかと思っちゃうよ。

(熊谷CINE TIARA 21)

「PIECE 記憶の欠片」☆☆

 元は大手新聞社のエリート記者だった千野智紀は、3年前に恋人を亡くしたことをきっかけに堕落した生活を送っていた。そんな中、人間が石化して死亡する怪事件が発生し、その死に方がかつての恋人と同じと知った千野は独自に捜査を始める。そんな中、千野は多重人格のカメラマン、零に出会う。

 仮面ライダーシリーズに出演した若手俳優を売り出すために作られていく新シリーズとのこと。これってこの題材で連作していくつもりなのかな? それともその都度全く違う話を作っていくつもりなのかな? できれば後者でお願いしたいと思います。だってこの話、面白くないもの。
 観る前はもっと現実的なミステリーなのかと思ってたのだけど、実際には非現実性のばか高いホラー系のこの映画、仮面ライダーが出てこないだけで、話自体は仮面ライダーが出てくる話として何の問題もないつくり。逆に仮面ライダーが出てこないことで違和感だらけというのが皮肉な感じです。仮面ライダーが出てくるような非現実世界の設定だったらよかったのに。
 主人公の一人は多重人格なのだけど、その表現方法も違和感があります。人格同士が会話するような、個々の人格が憑依したかのような多重人格はなんの現実性も感じられません。たしかに人格ははっきりと区別できるので演技的には問題ないと思うけど、その切り替えがなにかコント的に見えてしまうのが気の毒でした。

(シネシティザート)

「るろうに剣心」☆☆☆☆

 明治10年、神谷活心流の”人斬り抜刀斎”を名乗る人斬りが現れ、多くの人を手にかけていた。父親から道場を継いだ神谷活心流の師範代、神谷薫は、その流派を名乗る抜刀斎を許せず、彼を探す。そんな中、薫は緋村剣心という逆刃刀を持った人懐こい笑顔の”るろうに”と出会う。実は彼が、本物の伝説の“人斬り抜刀斎”だった。

 うん、面白かった。アクションもかっこよかったし。普段はのほほんとした主人公がいざ戦いとなると絶対的に強いっていう設定はよくあるけど、そんな中でもこの主人公はなかなか魅力的です。近代人と侍が混在している明治初期という時代設定もいいね。洋館内で戦う侍というのも新鮮だし。

 佐藤健くんは20代後半と思しき役柄からするとちょっと若すぎる気もするけど、ルックス的にもキャラクター的にも、さらに動きのキレなども含めてまさに適役でとてもよかったです。あと最近よく武井笑さんを見るけど、この映画が一番可愛かったね。凛とした表情としっかりした言葉遣いの演技がなかなか好きでした。もちろん蒼井優も好き。(笑)

(シネシティザート)

2012.09.13

「闇金ウシジマくん」☆☆☆☆

 丑嶋は10日で5割、1日3割という法外に高い金利をつける闇金業を営んでいる。母の借金を肩代わりした未來は、楽に稼げるとの友人の勧めを受け、そのまま出会いカフェのバイトを始め、簡単に金が手に入ることを知ってしまう。イベントサークルの代表の小川純はイケメンダンサーを集めたイベントを主催してはギャルたちからチケット代を巻き上げているが、資金繰りに苦しんでいた。

 ちょーこえええ。その辺のチンケなホラーなんかよりよっっっぽどこええ。なぜ怖いかっていえば、これらのことが自分の身にも訪れる可能性が、心霊現象なんかよりもずっと高いからでしょう。例えば自分も忘れかけているような昔の少額な借金や、それ自体は自分とはほとんど関係ないとも言える身内の借金により訪れる地獄は、いつ自分に訪れてしまうかもしれない。
 ここで描かれた地獄の苦しみを味わう青年だって、基本的には夢を追おうとして勝負に負けただけで、まさか自分にこんな日が訪れるなんて思いもよらなかったでしょう。もちろん傍から見ていればなるべくしてなったと言えるアホっぷりではあるけども、あれと同じ程度にアホでありながらも成功したヤツも世の中にはたくさんいるだろうしね。しかしあの落ち方はやっぱりコワイ。あんな世界に足を踏み入れては絶対にイカンのだ。

 それにしてもあんなつまんなそうなイベントにあんなに人が集まってあんなに熱狂するもんなのかね。わかんねー。

(シネシティザート)

「東京公園」☆☆☆☆

 カメラマンを目指している大学生の光司は東京の公園を訪れては家族写真を撮り続けていた。ある日、いつものようにある親子連れを写真に撮っていると、突然現れた男性に難癖をつけられる。ところが後日その男性から連絡が入りその親子を尾行し毎日写真を撮って送って欲しいと依頼される。

 ラブストーリーでありながらミステリーでもあり、コメディっぽいところもありつつファンタジーでもある。そして何より青年男女の成長物語である。いろんな要素がちりばめられていながらも物語は全く破綻を見せず、そのまとまりはよくて見ごたえもある。面白いです。特に染谷将太君の存在にはやられました。
 僕は長い付き合いの身近な異性がいつしか恋の対象に変わったと言うような経験はなく、そのあたりの気持ちは正直分かるような分からないような感じなのですが、そういった思いも一度感じてみたかったなとか、なんとなく無責任に思ってみたりもする。

(DVD)

「かぞくのくに」☆☆☆☆

 ある夏、日本で暮らす家族のもとへ病気治療のため特別に3ヵ月だけ許可をもらって25年ぶりに兄ソンホがあの国から戻ってきた。久しぶりの再会を両親と妹のリエは喜ぶが、病院でのソンホの検査結果はあまり芳しいものではなく、3ヶ月という限られた期間では完治は難しいと分かる。

 全く、あの国といったら。という感覚は日本人なら誰にもぬぐえない感情でしょう。この映画にあるような理不尽さもあの国なら何の不思議もないことと僕らは感じてしまいます。でももしその実体に自分の家族が関わっているとしても、その理不尽さにただ耐えるしかないのでしょうか。
 しかしその突然の理不尽さに打ちひしがれながらも、強く大きな愛情を見せるお母さん、一歩以上の大きな成長を感じさせる妹の姿は涙を誘うね。何もできずに息子を見送ることしかできない父親も同じ。全く、あの国といったら。

 ところでアカデミー賞日本代表に選ばれたそうですね。このまま今年のメイン映画になるのかな? とてもよかったです。

(テアトル新宿)

2012.09.07

「桐島、部活やめるってよ」☆☆☆☆

 バレー部のキャプテンで成績も優秀な桐島は校内ナンバーワンの人気女子を彼女に持ち、男子からは一目置かれる学校のスター的存在。しかしその桐島がある金曜日の放課後に突然部活をやめてしまう。突然の出来事に、理由も分からないバレー部員をはじめとして学校中の生徒たちに動揺が走る。

 この映画のように同じシーンを何度も違う視点で繰り返すのって面白い。他にも時折ある演出だけど、それをうざったく思うことはまずないですね。
 中高生の頃って、同じ学年でも全体に影響を強く残すような存在のやつと、僕らのように決してそうではない存在のやつがいるのは疑いようがない。でもそうではない僕らにも、僕らなりの学生の頃の強い思いを持ってはいるのだ。だから映画部の連中が撮影の小道具をぞんざいに扱われて怒る様などには強く共感してしまう。桐島やその周りの連中だけが学校にいるわけではないのだ。きっと桐島はまだそのことに気がついていないだろうね。

 最初から知っていたからネタバレではないと思うけど、この映画には桐島は結局出てこない。でも僕は最後に出てきてほしかったなあ。デブで不細工なやつとかだったら面白かったのに。

(シネルーブル池袋)

「この空の花 長岡花火物語」☆☆☆☆

 地方紙記者の遠藤玲子は、新潟県長岡市で教師をする昔の恋人・片山健一から、生徒が創作した舞台と花火を見てほしいという手紙を受け取り、導かれるように長岡を訪れる。中越地震を乗り越え復興した同地の様子を、新聞記者として取材したい思いのあった玲子だったが、そこには戦争の深い爪あとが残っていた。

 このテンションの高さで2時間40分。最初の20分くらいで最後までついていけるか不安になったけど、いつのまにかこの映画のテンションに引き込まれ、最後には終わるのが惜しいくらいにのめりこんで観ていました。劇中劇として上演される反戦劇の圧倒的な力にも、戦争で子供を亡くしたお母さんの紙芝居の静かな説得力も、戦争時の爆撃の様子を語る人々の悲しくも力強い言霊の数々にも、なにもかも心動かされました。ここまで強い気持ちのあふれた反戦映画はなかなかありません。戦争は悲しい。あの国の人もあの国の人もあの国の人も、そういう映画をきちんと観て、きちんと戦争のことを考えるべきだと思いました。

 しかし相変わらず大林さんはどこからともなくスゴイ新人女優を連れてくるねえ。猪股南さんはこの映画の象徴として輝き続けてほしい。調べたら一輪車の世界チャンピオンだって!

(渋谷アップリンクX)

「怪談新耳袋 異形」☆☆☆

 写真撮影で山奥にやって来た新人アイドルのシオリは、宿泊した旅館で女性の泣く声がしたかと思うと、泥まみれの手が彼女を襲ってくる。家でケーキを作っていたアイリのもとに、真っ赤な人がやってくる。両親と部屋を交換したモモカは残されていた古い三面鏡に不安を覚える。シオリのデビューを祝って乾杯をするミサキ、シオリ、モモカ、マナ、アイリ、ハルカはある廃墟に集まったが、そこで恐ろしい体験をしてしまう。オムニバス。

 ハロプロの人気アイドルグループ、スマイレージのメンバーが主演したホラー。BS-TBSのこの新耳袋シリーズは結構観てきたので違和感はないと思っていたけど、よく考えると映画館で観たのは初めてじゃないか。その最初がスマイレージか! オレってハロプロファンじゃん。(笑)
 それはさておき井口昇監督作品である。現象としては怖いのだけど、表現的にはついつい笑ってしまうシーンが多く、軽めのオモシロコワイが満載のお気軽なホラーでありました。赤い人とか鏡のばあちゃんとか、なんだよそれって感じ。(笑) 怖いのはイヤだけど、ホラーをちょっと観てみたいアイドルファンの入門編ですね。

 ちなみに本当にハロプロファンの私はスマイレージのメンバーも全員名前が分かります。普段はあまり注目して見ていない竹内朱莉さんが今回は一番よかったです。

(シアターN渋谷)

「聴こえてる、ふりをしただけ」☆☆☆☆

 11歳のサチは突然の事故で母を亡くしてしまう。周囲の大人たちはサチに慰めの言葉をかけるが、サチは気持ちを整理させることができずにいた。そんな時、クラスにちょっと変わった女の子、のぞみが転校してくる。お化けの存在を信じてトイレに一人でいけないのぞみにサチは興味を持つ。

 小学生で母親を突然亡くすなんてことは、その子の世界にとっては全てが崩壊するに等しいでしょう。ましてや父親は病むほどに悲しみ続けて全く頼りにならず、自分ひとりでその出来事を昇華していかなくてはならないとなると、考えただけでもその荷物の大きさに気が遠くなってしまいます。
 死んだ母親は近くで自分を見守ってくれているのか。そう信じたい気持ちと、もしかしたらそうではないのではないかという疑問が交錯するのは当然でしょう。そんなときに現れる発達障害気味の転校生少女の存在が大きな波紋を彼女に浴びせる。彼女がおばけ(=霊)を信じようとそうでなくとも実は何も変わらないのに、その無垢な彼女の言葉によって、自分の信じたい心が揺らぐ様子が観客の心をも揺らす。
 しかし父親情けなさ過ぎ。とは言え、そんなにも妻を愛していたのか。それもまた愛の形であり、とてもつらいこともたしかである。

(渋谷アップリンクX)

2012.09.02

「アナザー」☆☆

 夜見山北中学校3年3組に転入してきた榊原恒一は、一番後ろの席に座る少女、見崎鳴に惹かれるが、クラスメイトたちはあの関は空席だという。恒一はクラスに蔓延する雰囲気に違和感を覚えるが、誰もそれを説明しようとはしない。そしてクラスに悲劇が訪れる。

 当初、見崎鳴は生きているのか死んでいるのかも分からない。主人公には見えるのに、他の生徒たちは彼女なんかいないと口をそろえるから。その扱いはとてもミステリアスで興味を引くのだけど、中盤で明らかになるその正体が物語上ほとんど意味を成していないことに愕然としてしまう。なんだそんなことかよと心から思うよ。
 それ以降の話の中核は昔のある出来事に由来する呪いによって、クラスの生徒たちが次々に死んでいくという恐怖を、どうやって回避しようかという謎解きになるのだけど、それも結局回避できたのかどうかもよく分からないまま終わってしまった気がする。
 だいたい学校も教師もその呪いを信じて中途半端に非人道的な対策をとろうとしているくせに、根本的な対策(教室を使わないとか、3年3組を作らないとか、恒一にきちんと説明しないとか)しないのが不思議。

(シネシティザート)

「おおかみこどもの雨と雪」☆☆☆☆

 女子大生の花は、大学の教室でとある男と出会い恋に落ちる。しかし実はその男は自分がニホンオオカミの末裔であった。花はそれを受け入れ、やがて2人の子供を産む。しかし雨の出産直後、男は亡くなってしまう。

 「時をかける少女」も「サマーウォーズ」もとても面白く、すっかり人気ブランドになった細田アニメの最新作も、やはりとても面白いのでした。

 人間と狼の間に生まれた子供が人間として生きるか、狼として生きるのか。その中間はないようなので、これは重大な問題ではある。ただ多くの場合(多くはないけど(笑))、人間に育てられれば人間として生きたくなり、狼に育てられれば狼になりたくなるのではないかと思う。でも自体はそんなに単純ではない。それをこういう形であの結論を描ききったのはスゴイと思う。
 それにしても主人公はもう宮崎あおいにしか見えないね。声だけであの存在感を出すのは偉いなあ。

(シネシティザート)

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