April 2017
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

« July 2010 | Main | September 2010 »

2010.08.21

「BOX 袴田事件 命とは」☆☆☆☆

 昭和41年6月30日未明、静岡県清水市で起きた味噌工場の一家4人の強盗殺人事件。警察は従業員で元ボクサーの袴田巌を容疑者として逮捕する。最初は否認していた袴田だったが連日の過酷な取り調べによりついに犯行を自白する。しかし彼の裁判を担当した裁判官の熊本は警察の捜査に疑問を抱いていた。

 9割方事実なんでしょうね。これが事実だとすれば警察も検察も裁判所もみんな全然信用できなくなり、世の中何が正義なのか全く分からなくなります。自分の身は自分で守るしかない。でもそれにも限界がある。僕たちはこういった窮地に追い込まれたとき、どうすればいいのでしょうか。諦めるしかないのでしょうか。

 ここに描かれていることが全て真実だとして、気になるのはなぜ警察が、なぜ検察が、なぜ裁判所があんなスカスカの証拠と信憑性の薄い供述だけであそこまで突き進めることができたのかは全く描かれていないこと。警察が彼を本当に犯人だと思っていたのか、単に彼を犯人にしたかっただけなのかはこの映画では分かりません。警察の中にも疑問を持つ人がいてもいいのに、そういった人は皆無です。この映画はとにかく最初に冤罪ありきで、そう導いた側の人たちは全てヒトデナシかアクニンとしてしか描かれていないのが多少気になります。主人公のほかにも、彼を有罪に導いてしまったことを深く悔やんでいる人がいてもいいはずなんですけどね。ちょっと一方的なのかも。それとも本当に関係者みんな悪意の塊だったのか。
 あと控訴審や再審請求も、ここに描かれているような観点を持っている人が一人でもいればあんなあっさり却下されないでしょう。どう見ても無実なのに有罪になるのは、なにか却下されるだけの理由があるはずです。その理由も示して欲しかった。おそらくは裁判所のメンツとかなんでしょうけど、それすらも描かれていない。情報としては不十分です。石橋凌さん主演で警察側の視点でぜひ、もう一本。正義の警察官が粘り強い尋問の末に真犯人を自供に導いたという流れでどうでしょうか。そしてその映画に対する違和感をみんなで感じよう。勇気のある人はぜひ。

 ただそれにしてもこの映画の力強さは凄いと思います。心から気の毒に思うし、心から憎憎しく思います。それと同時に、人を人が裁く難しさや危なさが心に強く残ります。裁判員に選ばれた人にはまず最初にこの映画を観せるといいんじゃないですかね。とりあえずとにかく日本人はみんな観よう。

(静岡シネギャラリー)

「恐怖」☆

 みゆきとかおりの姉妹は幼い頃、真夜中に両親が上映していた16ミリフィルムのスクリーンから白い光を浴びてしまう。成長したみゆきは自殺サイトで同士を募って練炭自殺を図る。目を覚ましたみゆきはある脳に対する実験に取り付かれた母・悦子と再会する。一方かおりは行方不明の姉を捜していた。

 久しぶりにヒドイのを観ちゃった気分。実験の目的や原理はおろか、その思考回路すら全く理解できず。ホラー的要素の原因が人為的なものなのか超常的なものなのかも結局よく分からない。結局何を描きたかったんでしょうか。僕の理解をはるかに超えていました。面白くもなんともない。もちろん怖くもない。
 片平なぎささんのちから入り過ぎでガチガチの演技はラズベリー賞もの。藤井美菜さんはキレイだね。中村ゆりさんは最近よく見ますがいい感じ。吉野公佳さんを久しぶりに見た。

 Jホラーシアターだっけ? 大々的に宣伝していた「感染」「予言」「輪廻」までは認識していたんだけど、「叫」「怪談」も入っているとは知りませんでした。これらの時も言ってたっけ? 一応劇場で制覇していたのね。しかし最初はもっとシャカシャカ作るのかと思っていたよ。尻すぼみもいいとこだね。うーん。

(静岡東宝)

2010.08.06

「借りぐらしのアリエッティ」☆☆☆☆

 郊外にある古い屋敷の床下に住む14歳の小人の少女・アリエッティとその両親は、人間の生活品を”借り”ながら密かに暮らしていた。彼らは人間に見られてはいけないという掟があったが、ある日、その屋敷に引越してきた少年・翔にアリエッティは姿を見られてしまう。

 面白かった。一番面白かったのはやはり”借り”のシーン。”かり””かり”言うので”狩り”に行くのかと思ったら”借りに”行くというのにはちょっとだけ笑った。ただその”借り”のシーンのスペクタクル性の高さは素晴らしいね。普段何気なく暮らしている僕らの家だとしても、あの身長の人たちにとっては1大アトラクションのごとく巨大な世界だというのは分かっていることだけれどもそれでもこうしてしっかり描写されると実は結構新鮮ですねえ。家の裏側の世界も彼らがきちんと行動できるように整備されているのがすごいと思いました。
 そういう人間にとっては何気ない環境でも小さい人たちにとってはそうではないという描写が、一つ一つみんな素晴らしかったです。

 人間に見つかったら引っ越さなくてはならないという掟は、やはり正しいものでしょう。それがどんなに好意的な少年だったとしても、それがきっかけとなって危険が及ぶことは充分に考えるに容易いことです。今後も人間には見つからずに、幸せに暮らして欲しいなあと思いました。それで他に仲間が見つかるといいね。

(静岡東宝)

「キャタピラー」☆☆☆☆

 一足早く観ました。


 第2次世界大戦中、シゲ子の元に戦地から夫・久蔵が帰ってくるが、久蔵は手足を失い、顔は無残にも焼けただれ言葉も失っていた。多くの勲章を得た久蔵は「軍神」として崇められるが、シゲ子は戸惑い苦しむ。

 衝撃的といえば衝撃的。戦争という大きな出来事が、夫婦というとても小さな世界にもどのような悲劇的な影響を与えていたのかということは分かっているようでも戦争全体を見つめた場合にはなかなか実感できません。こういった小さな悲劇、でも当人たちからすればこの上ない悲劇の積み重ねが、戦争というものの実態なのでしょう。この夫婦の、特に奥さんのつらい思いがこの上なくガンガン伝わってくる力強さは物凄いです。
 ただちょっとだけ苦言を呈しておけば、せっかくこういった小さな世界から戦争を描こうとしているのに、テロップで原爆で何人だの沖縄で何人だの大空襲で何人だの死者数を表示するなどして戦争全体の影響の大きさをも示そうとしたのは蛇足気味に感じました。そういうのは戦艦大和の映画とか硫黄島の映画とか戦争全体似影響を与えるような戦局映画で描けばいいことなんだけどね。

 寺島しのぶさんは海外で大きな賞を取ったようで、さすがの迫力。監督の話では脱がない契約だったのに自分の意思で脱いだそうな。偉いなあ。今年の女優賞を松たか子さんと争うことになるんじゃないかね。

(静岡サールナートホール)

「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」☆☆

 工事現場で働くケンタは、先輩の裕也から嫌がらせとも言える仕打ちを受け続けており、毎月少ない給料から金まで渡していた。耐えかねたケンタは幼なじみのジュンと共に裕也の車をぶち壊し、網走にいる兄のカズに会うために旅へと出発する。

 こーゆーの作って、孤児に偏見を持てって言うの? 孤児だから苦しんでなかなかつらい境遇から抜け出せなくってつい道を外れてしまうって。孤児だから道を外れても可哀相なんだからって。たぶんそういうことではないつもりで作っているんだろうけど、主人公の男側二人の姿を見てると、何一つ共感も同情もできない酷さ醜さ。その理由が孤児だから以外には見つからないというのは、絶対におかしいでしょうよ。
 僕は孤児に偏見はないつもりだけど、偏見を持てって言われたとしか思えない。孤児って可哀相だから許してあげてねってさ。

 話も前面白くないしね。最後のほうなんて何が言いたいのかさっぱり。お気に入りの安藤サクラさん、醜い主人公二人を演じた松田翔太くん、高良健吾くんらが頑張っているだけにちょー残念です。

(静岡シネギャラリー)

「鉄男 THE BULLET MAN」☆☆☆

 サラリーマンとして働くアメリカ人男性のアンソニーは、日本人の妻ゆり子と息子トムと共に幸せな生活を送っていたが、ある日、謎の男が運転する車に最愛の息子が轢き殺されてしまう。それをきっかけにアンソニーの身体が何物かに変化していく。

 勢いはスゲエ。何から何まで勢いです。話が面白いとかでもなく、映像がスゴイとかでもなく(スゴイけど)、とにかく全力で駆け抜けていく怒涛の勢いを感じ取るのが正しい映画ではないでしょうか。好きかって言うと微妙だし、面白いかって言うとこれも微妙。何もかも微妙なんだけど、勢いはスゴイ。誉めてんのか、オレ? 一応誉めてます。(笑)
 まあ要するに「鉄男」ってIIだけずいぶん前に観てんだけど、それを観たときの印象とほとんど変わってないんだよね。初めて観る「鉄男」だったら面白いと思えたかもしれないけど、ほとんど前の映画と同じ印象しかないので、そんなに新鮮な思いが持てないのが原因でしょう。まあ昔の映画なので、セルフリメイクはいいと思うけど、昔観ちゃった身からすれば同じものをまた観たという印象でした。

(静岡シネギャラリー)

「全然大丈夫」☆☆☆

 古本屋の長男の照男は、人を怖がらせることが好き。照男の幼馴染みの久信は、30歳を目前にして自分に自信を持てずに悩んでいた。ある時、久信の職場にアルバイトの女性、あかりが入ってくるが、あまりの不器用さにクビになってしまう。あかりが気になる久信は照男の古本屋でバイトをするように紹介する。

 木村佳乃さんのドジ娘っぷりが妙に可愛い。どこの世の中にエレベーターのボタンを押そうとして怪我するヤツがいるってんだ。でもそんな一見ダメダメな彼女が実は愛されるべくして愛されてしまうというのがよく分かるので、男たちがみんな彼女に惹かれてしまう様子がとても気持ちがいい。そんな彼女が選ぶ男が彼だというのもやはり素晴らしい。本当に分かっている女なのだ。
 ただちょっと前半がかったるいんだよなあ。こういう話が大きく動くような映画ではない場合、前半は興味を繋ぐためにはとても重要だよね。前半つまらないと飽きちゃう。役者がそろってからの後半はとても面白かったのでいいのだけど、登場人物がそれぞれ行動してバラバラな印象を受ける前半はイマイチでした。

 そういえばこれって2007年制作、2008年公開なんだけど、ブレイク直前くらい? の鳥居みゆきさんが出ていてちょっと驚いた。

(TV)

「シュアリー・サムデイ」☆☆☆

 バンドを組んで文化祭で演奏すればモテると思った巧たち同級生5人だったが、文化祭は中止となってしまう。巧たちはその決定に抗議するために狂言の爆破予告をして高校を占拠するが、仲間の1人が本物の爆薬を仕掛けてしまい、大爆発を引き起こしてしまう。高校を中退し3年後、5人はそれぞれの生活を送っていたが、あることから再び集まることになる。

 3年前の爆発事件とその裏で起きたもう一つの出来事、現在の事件と子供のころの出来事。がんばっていろんな伏線をうまく繋いでみました、みたいな意気込みは感じるのだけど、もう少しうまく繋いでほしかったというのが正直なところ。ああ、そういうふうに繋がるの、っていう点で納得はいかないでもないけど、それで驚いたり目が覚めたりするようなことはなし。よく考えてはいるんだなとは思うけど、よく考えたなーとは思いませんでした。
 特に前半の個々の出来事がバラバラに描かれている時間帯のつまらなさはなんとも。

 小栗旬という若手人気俳優が20代半ばにして全国公開の映画を監督したというのは快挙でもあり話題性も十分。気合も充分で真面目に制作したことも充分伝わってきます。これをきっかけにまた次作も作れる環境ができるといいね。

(静岡ミラノ)

« July 2010 | Main | September 2010 »

広告

  • amazon

ツイッター

  • ツイッター
無料ブログはココログ

ブログパーツ

  • mixi