映画を100本観ない理由
去年劇場で観た映画は93本。僕としてもこの本数はわりと多いほうで、おそらく生涯でも3番目か4番目の数字。幸せなことですなあ。
ところで僕は映画を趣味として日常的に観るようになって20年以上になるんですが、それでも100本以上観た年というのは過去一回だけ。たしか8年ほど前に102本観たのが自己最高だったと思います。なかなか100本は難しいですね。いろんな条件が重ならないとまあ無理です。だいたい70本くらいということが多いです。
これはべつに映画じゃなくてもいいと思うんだけど、例えばコンサートに100回行くとか野球の応援に100回とか、本を100冊読むとかCDを100枚買うとか、カラオケ100回とか100人斬り(笑)とか、なんでもいいから100くらいの数字になればよっぽどそれが好きなんだなあという感じで(自慢できるかはともかく)認識できるんじゃないでしょうか。便宜的に話を映画にしぼり戻しておきます。映画を年間100本観るという人は世の中ザラにいるとは思いますが、それでも「私は映画好き」と公言する人の中であってもホンのひとにぎりでしょう。なぜ人は(映画が好きであっても)100本の映画を観ないんでしょうか。
僕は映画を100本観るために必要な条件は「環境」「状況」「意欲」の3つだと思います。
「環境」とは例えば地元に映画館が無い、有っても少ない、観たい映画が公開されない、大都市から遠いなどの主にその人がおかれた地理的地域的な状況です。地方の映画ファンの多くはこれに悩まされているんですよね。
「状況」とは主に時間とお金です。映画1本観るということは前後の時間も入れれば3時間くらいはかかるもの。年100本といえば毎週2回ほぼ欠かさずこの3時間を映画に費すわけです。そう考えるといくら好きでもちょっと忙しい人にはなかなかできることではありませんよね。あとお金。映画コストは割引や交通費を考えるとだいたい1500~2000円/本くらいかと思うけど、100本としたら15万円以上。独身社会人ならなんとかなる金額でしょうが学生やお小遣い制のお父さん、他にもお金のかかる趣味を持っている人にはかけられる金額ではないかもしれません。
そして3つのうち最大のものは「意欲」でしょう。べつにフツーの人には100本も映画を観る必要なんてまったくないし、大抵の人は年に20本も観れば“もう十分観過ぎ”くらいの感覚だと思います。たぶん5本も観ない人の方が多いでしょう。また観たいと思う映画は100本もないと言う人も多いでしょう。っていうかほとんどの人はそうかな。100本も映画を観たいっていう人は“映画を観ること自体が好き”という人かもしれません。“映画を観ること自体”に相当な意欲がないと100本の映画は観れないでしょうね。
でもってこの話は映画に限定したことではなくて、先にあげたようないろんな趣味においてだいたい当てはまるロジックだと思いますがどうでしょうか。多くの人(男)は100人斬りする意欲はあっても状況にはないのです。(笑)
ではさて、なぜ僕は100本の映画を観ないんでしょうか。実ははっきりしています。時間がないんです。上の区分で言えば「状況」です。こんな私でも自由になる時間は限られています。自由時間のかなり多くを映画に費しているのでこれだけ観ていますが実のところいっぱいいっぱいです。これ以上観る時間的余裕はほとんどありません。しかし逆にいうと「環境」と「意欲」は充分だと言えます。
僕はいま静岡市内に住んでいるんですが、映画環境はまあまあいいほうだと思っています。東京と比べたらたぶん公開本数は半分位なんでしょうが、それでも全国公開の映画はだいたいみんな観れますし単館系劇場もあるからマイナーな映画も比較的観れます。またシネコンが職場近くにあるから会社帰りに1本ということもできます。観たい映画が地元でかからないジレンマから開放されることはありませんがそれでも最低限以上の環境は整っていると言えるでしょう。贅沢は言えません。
意欲ですが、いま僕は半分病気で、映画を観ても観ても観たりないくらいに映画を渇望しています。毎日でもなにかしら観たいくらいです。全然観たりません。観たかったのに観逃した映画があるのがたまりません。ホント病気です。
しかし今足りないのはこの通り状況(時間)だけなのですが、昔は時間はあったはず。しかしその頃は環境が整ってなかったんですね。シネコンも単館系劇場も昔はありませんでした。上映本数も今よりずっと少なかったしね。そしてなにより今ほどの意欲もなかったんですよね。昔は有余る時間があったので映画は半分くらい時間つぶし的な感覚でした。昔は時間が余っているから映画を観て、今は時間が無いのに映画を観ています。それでほとんど本数に変動はないんだからヘンなもんですね。
さて今年は今のところ5本。滑り出しとしては例年並み。どこまで積み重なっていくんでしょうか。
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